SGLT2阻害薬の危険性

院長コラム

毎年この時期になりますと、清涼飲料水やアイスクリームの大量摂取で高血糖になる方がおります。まだ健診などを受けていない、10代後半、20代の一人暮らしの若い方に多いイメージです。実家を出て、自炊している方で、急激に体重が増えてきたら要注意です。

このような短期間でおこる高血糖では、インスリンの効果が弱まり、糖分をエネルギーに変換できず、生命維持のために、脂肪などを分解し、ケトーシスという状態になることも少なくありません。ケトーシスの状態での高血糖ではかなり注意が必要で、闇雲な糖尿病治療で、ケトアシドーシスとなり意識障害となるケースもあります。
 
SGLT2阻害薬という便利な糖尿病薬があります。尿中に300~360キロカロリーの糖分を捨ててくれるので、結果として血糖が下がり、体重も減り、血圧も下がるという、素晴らしい薬です。ただし素晴らしい薬も間違った状況で使用すれば、毒となるのです。
 
清涼飲料水を短期間で大量に摂取しておこる高血糖で、SGLT2阻害薬を使用すると、糖の利用効率が減るので、結果として脂肪分解が進み、ケトーシスからケトアシドーシスになることもあります。

昨年、当院では3名の方が、他院で処方されたSGLT2阻害薬によって、逆に体調不良となって来院されております。
SGLT2阻害薬のメーカーにはしっかりとした啓蒙活動をしていただきたいですし、もし糖尿病薬を処方されたときは、なぜ処方するのか、その理由を聞くようにして、ご自身の体を守ってください。